アスベスト(石綿)の基礎知識:種類、危険性、規制、調査方法
アスベストとは?その特性と用途
アスベスト(石綿)は、天然に存在する繊維状のケイ酸塩鉱物の総称です。 アスベストは、その強度、耐火性、耐久性、親和性などの優れた特性から、主に建材として建築物に広く使用されてきました。
アスベストの種類と日本の規制
アスベストには、以下の6種類があります。
- クリソタイル(白石綿)
- クロシドライト(青石綿)
- アモサイト(茶石綿)
- アンソフィライト
- トレモライト
- アクチノライト
日本の法律では、「繊維状を呈しているアクチノライト、アモサイト、アンソフィライト、クリソタイル、クロシドライト及びトレモライト」がアスベストとして規制対象となっています。
アスベスト含有建材と判定される基準は、アスベスト含有量が0.1重量パーセントを超えるかどうかです。
アスベストの危険性と健康影響
アスベスト繊維を吸引すると、石綿肺、肺がん、悪性中皮腫などの深刻な疾患を発症するリスクがあります。 アスベスト関連疾患は、アスベストへのばく露から長い年月を経て発症するのが特徴です。 例えば、中皮腫は平均で約35年という長い潜伏期間を経て発症することが多くなっています。
アスベストの規制と法律
アスベストの危険性が明らかになるにつれ、日本では、労働安全衛生法、建築基準法、大気汚染防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律など、様々な法律によってアスベストの製造、使用、処理などが規制されています。
特に、建築基準法では、吹付けアスベストとアスベスト含有吹付けロックウール(アスベスト含有率が0.1%を超えるもの)の使用が禁止されています。 また、既存の建築物でも、増改築や大規模な修繕・模様替えを行う際には、これらのアスベスト含有建材の除去などが義務付けられています。
アスベストの調査方法と重要性
建築物にアスベストが使用されているかどうかを調べるには、専門の知識を持った「建築物石綿含有建材調査者」による調査が推奨されています。 調査は、図面調査と現地調査によって行われ、必要に応じて建材の採取と分析が行われます。
アスベストに関する調査や除去、封じ込め、囲い込み工事には費用がかかりますが、国や地方公共団体によっては補助金制度が設けられている場合があります。
アスベスト飛散防止対策
アスベスト含有建材は、劣化が進むとアスベスト繊維が飛散しやすくなるため、適切な維持管理や改修工事が必要です。 アスベスト含有建材の除去、封じ込め、囲い込みなどの工事を行う際には、労働者の健康障害防止と周辺環境へのアスベスト飛散防止のために、適切な措置を講じることが義務付けられています。