石綿含有建材の規制・2006年以降の建物は注意が必要です。
アスベストは、昭和初頭から日本でも建材や断熱材として広く使用され、1970年代には年間約8万トンのアスベストが輸入されていました。 しかし、アスベストが健康への悪影響を及ぼすことが判明し、1987年に建築物へのアスベスト使用が禁止されました。 その後、1995年には製造・輸入が禁止され、2006年には使用が完全に禁止されました。 アスベストは、吸入すると肺がんや中皮腫などの原因となるため、使用禁止はアスベストによる健康被害を防ぐための重要な措置です。 しかし、アスベストはすでに使用されている建物や設備に残存しているため、アスベストの飛散を防ぐための対策が必要です。 アスベストは年を追うごとに規制が厳しくなってきました。1975年(昭和50年)特定化学物質等障害予防規則の改正、石綿含有率が重量の5%を超える場合、吹き付け作業は禁止され、5%未満であれば、吹き付け作業は許容されていました。 1986年(昭和61年)ILO石綿条約の採択 クリソタイル(白石綿)は管理使用の対象とし、クロシドライト(青石綿)の使用と吹き付け作業の禁止を指導されました。しかし、日本では依然として使用及び製造がなされていました。 1995年(平成7年)労働安全衛生法施行令改正、特定化学物質等障害予防規則改正 アモサイト(茶石綿)、クロシドライト(青石綿)の製造、輸入、譲渡、提供、使用が全面禁止されました。更に、石綿含有量が1%を越えるものの吹き付け作業が禁止されました。1%以下の吹き付け作業やクリソタイル(白石綿)の使用は認可されています。 2004年(平成16年)労働安全衛生法施行令改正 代替が困難なものを除くすべての石綿製品の製造、輸入、譲渡、提供、使用が禁止されました。しかし、重量の1%以下を含有するクリソタイル(白石綿)は認められています。 2006(平成18年)労働安全衛生法施行令改正石綿の含有量が重量の0.1%を越えるものの製造、輸入、譲渡、提供、使用が禁止されました。 2020(令和2年)「大防法」及び「石綿障害予防規則」の一部改正 規制対象がすべての石綿含有建材へ拡大されました(アスベストレベル3建材を規制対象に追加)、事前調査結果の記録等の作成・保存の義務化が行われ、事前調査方法の変更(図面及び目視による調査の義務付け)がなされました。 他にも事前調査結果の電子報告制度の開始、直接罰の創設等といった点が改正されました。 2006年に石綿の含有基準が引き上げられ、更に2021年4月1日より規制対象がすべての石綿含有建材(アスベストレベル3建材を含む)へ拡大されたことにより、アスベストが含まれているかという判断が非常に厳しくなっています。 一方で、解体をする建物というのは、現在はまだほとんどが2006年以前に建てられていることと思います。